ツメも水虫になる?爪水虫(爪白癬)とは
湿気の多い時期には特に注意!
爪水虫は正式には爪白癬(つめはくせん)といい、足の水虫と同じ白癬菌(はくせんきん)というカビの一種で起こる感染症です。ほとんどは足の爪に発生します。
爪水虫(爪白癬)は足白癬を治さず放置してた結果、白癬菌が爪の深部に侵入して増殖したために発症します。また、白癬菌は多湿を好みますので日本の梅雨〜夏の季節はより爪水虫が活動しやすい季節といえます。
爪水虫にかかったら・・・症状と危険性
爪水虫にかかるとは爪が白く濁る、厚くなる、もろくぼろぼろ欠けるなどの症状が見られます。それ自体は痛い、かゆいなどの症状はありませんが爪の変形が進むと周りの皮膚にあたって痛みが出たり、化膿したりすることがあります。
爪水虫は通常の水虫の塗り薬はほとんど効果がなく、内服薬以外はなかなか治りません。足水虫を一生懸命塗り薬で治療していても、そのはしから爪水虫から白癬菌が移ってきますから、水虫自体がなかなか完治しない状態になってしまします。また足裏でも、爪でも白癬菌が感染した部位は皮膚の感染防御機能が著しく低下しているので、他の雑菌が増殖する2次感染をきたしやすく、そうなると患部が発赤や腫れ、疼痛を伴いさらに治療が難しくなります。
また、足の水虫を治療して一時軽快しても爪に白癬菌が潜んでいると、そこから菌が供給されるため水虫が再発してしまします。
爪水虫の治療法
爪の中に白癬菌がいる爪水虫では、塗り薬は爪の中に薬が浸透しづらいために外用薬はほとんど効果が期待できません。そのため爪水虫の治療は内服薬がメインとなります。
薬の種類によって投与期間は異なりますが3~6ヶ月間の服用が必要です。内服薬の有効性はおおむね70%前後と言われています。
内服薬には副作用としてまれに貧血や肝機能障害を認めることがありますので、定期的な医師の診察や血液検査が必要となります。
★爪水虫の予防
早期治療
先ほど述べたように、まずは足白癬を放置せず、早い段階でしっかり治療することです。
家族に水虫の方がいる場合にはその方もちゃんと治療してもらいましょう。
入浴後の乾燥
風呂場のマットなどからうつる可能性があるので、マットはまめに洗濯しましょう。
お風呂あがりには足うらから指間まで十分タオルでふいて乾燥させる事が感染予防に効果的です。
履物のメンテナンス
同じ履物を長時間履くような生活のスタイルの方は水虫が増殖しやすい状況です。
通気性の良い靴に履き替えたり、履物のこまめな洗濯・乾燥を行ってください。
肉眼で見ただけでは足白癬・爪白癬を正確に診断することは医師でも不可能です。自分で判断して市販の水虫薬を塗って、余計に悪化してからいらっしゃる患者様は非常に多いです。 水虫が疑われたら、まず医療機関を受診して、正しく診断してもらい、その病状に合った治療(塗り薬なのか飲み薬がいいのか)を選択するのがベストです。
爪の一部を採取して顕微鏡で調べることで簡単に診断できますので、足の爪の濁りや変形があり、爪水虫が心配な方は、医師の診察、検査を受けましょう。
要注意!外傷(動物のかみ傷・海や屋外でのケガ)からの感染症
動物のかみ傷
まずは左上の写真をご覧下さい。 右手が赤く腫れあがってしまっています。熱も持ってもいます。患部だけでなく、体も炎症反応で発熱しています。 こちらの患者さまは強い痛みで眠れなくなり、当院で受診しました。
写真は治療をはじめて3日目のものなので、かなり腫脹も小さくなっています。はじめに受診したときは、まるでグローブのように指の隙間ができないほど腫れ上がっていました。
この症状は蜂窩織炎(ほうかしきえん)といって、動物のかみ傷から感染症をおこした状態です。
設備の整った大きい病院で詳しい検査を行った後、当院へ即入院。患部の消毒、抗生物質の点滴投与等の治療行ないましたが、退院するまでにおよそ1週間ほどかかっています。
退院後も自宅で消毒を行い、化膿止めとなる抗生物質入りの軟膏を塗布する一方、飲み薬でも抗生物質をしばらく続けました。手の赤みや腫脹が完全に消えたのは、発症して1ヶ月ほどたってからでした。
動物(猫や、外飼いの犬は特に)の牙や爪には雑菌が多く、それらの噛傷ではかなりの高確率(8〜9割)で創感染が起きてしまします。受傷の当日は大した腫れがなくても、翌日、翌々日には噛まれた手がグローブのように腫れて病院を受診する方が、少なくありません。
最も効果的な予防は、早い時期の抗生物質の内服と軟膏処置です。
また、傷の深さによっては、洗浄や、デブリードメント(挫滅した組織の部分を切除する。ほうっておくとそこが感染源になるため)、切開排膿、等の外科的処置が必要な場合もあります。
ですので、動物のかみ傷は、当初は軽いかなと思ってもなるべく当日に病院を受診することをおすすめします。
海でのケガ
暖かくなってくると海に行く機会も増えます。実は海でのケガも非常に感染症を起こしやすいと言われています。
岩場での挫傷、クラゲ刺傷などは、海中には大量の雑菌が浮遊しておりますのでそのままにしていますと、高確率で、創感染を起こします。
岩場などで遊ぶ際には、すべって転んだり、切ったりしないよう、また足首までガードできるような工夫をするととてもよいと思います。
専用の靴を買わなくても、靴下を履き、古い上履きなど捨ててもいいようなものを使用するだけでも効果的です。
もしケガをした場合には陸の上では放おっておくような、軽いけがでもひどくなることがありますので、動物咬傷と同様に早期の病院受診が望ましいです。
屋外でのケガ
屋外のケガは、特に土やどろが付着した状況の深い傷では破傷風の危険性があります。
破傷風は命にかかわる病気です。古い釘を足にさした。どぶや沼、水たまりでのけが、田んぼや畑でのケガなどは破傷風の危険性が高いです。
土の中には破傷風菌が潜んでいます。今は家庭菜園が流行していますが、作物の手入れをしていて切ったり、刺したりといったケガをしてしまった場合も注意が必要です。
速やかで適切な傷の処置、抗生剤の内服開始、場合により破傷風ワクチンの接種などが必要ですので、早期の病院受診が望ましいです。
★外傷からの感染症予防
動物のかみ傷・引っ搔き傷
牙や爪には雑菌が多いので、あまり痛くなくても感染症になる恐れがあります。特に猫や外飼いになっている動物には注意が必要です。早めに受診しましょう。
お子様には、動物との接し方をご指導頂くとともに、傷を負った報告するようにしてください。
海でのケガ
海中には大量の雑菌が浮遊しているので、傷を負ったら必ず消毒、必要があれば受診するようにしてください。
また、岩場等でケガをしないように、靴を履いたりして、ケガをしないようにする事も重要です。
屋外でのケガ
土中には破傷風菌が潜んでいる可能性があるため、ケガをしたら消毒、または受診する事をおすすめします。
お子様がケガをして帰ってきた時には、必ずどのように傷を負ったかを聞いてください。
「今回のケガ、ちょっと深いけど大丈夫かしら?」と思ったら、お気軽に当院にご相談ください。
日焼けのケア 紫外線の基礎知識
春から大幅に増加しはじめる紫外線の量。
4月~8月の紫外線は、9月に比べて圧倒的に多くなっています。
必要に応じた日焼けのケアを心がけましょう。
紫外線とは、太陽光からでているもので、長波長(いわゆるUVA)・中波長(UVB)・短波長(UVC)に分けられます。
そのうち、地上に届くのはUVAとUVB、中でも皮膚に悪影響を及ぼすものがUVBだと言われています。
UVBにも皮膚のビタミンD合成というメリットがあり、少量の日光浴であれば、細胞の活性化や免疫細胞を高める効果があるとも言われていますが、現在では、そのために積極的に日焼けをしようとする必要はありませんし、むしろ急激な日焼けは好ましくないとされています。
日焼けで肌が黒くなるのは、日焼けによるダメージを防ごうとメラニンをたくさん作る細胞からの「紫外線はこれ以上いらない」という警告でもあるのです。
以上のことから、簡単に紫外線についてまとめてみました。
★日焼けは防御反応 健康の象徴ではない。
★曇った日でも日焼けはする
薄い雲なら80%以上の紫外線が通過し地上に到達する
★水も紫外線を透過する
水中でも日焼けする。むしろ水面の反射は日焼けを増加させる
★冬:雪による反射も紫外線の暴露を増加させる
★日焼け止めクリームは効果的である
長時間日光に当たれば紫外線にさらされることにかわりはない
★紫外線は赤外線とちがい、熱(あたたかさ)を感じるものではない
気づかないうちに紫外線に暴露している可能性がある
★紫外線の反射率は、地表面の種類により大きく変わる
上記のことから、曇りの日や短時間の外出でも、ダメージを受けることが実際にあり得るとおわかりいただけたと思います。
それでは、どのような方法が日焼け予防に効果的なのでしょうか。
★紫外線が強い日には、帽子や日傘を利用したり、日焼け止めクリームやファンデーションをつけて素肌が紫外線にさらされない工夫をしましょう。
★パウダーだけでも紫外線を乱反射させる効果があります。フルメイクが面倒なときでも、ささっとできるメイクアップで紫外線を防ぎましょう。
★わずかな時間なら、雑誌や手をかざすだけでもダメージを弱める効果があります。
それでも、もし日焼けをしてしまったら、肌にたっぷりと水分補給と保湿を行い乾燥を防ぐようにしてください。
万一、炎症や水ぶくれ、じゅくじゅくと滲出液をともなうようなひどい日焼けを起こしてしまったときは早めの治療が肝心です。
お気軽に当院にご相談ください。
熱中症・熱射病の応急手当と予防
夏が近づいてきました。
梅雨入りとともに、じめじめした暑さの到来でもあります。
熱射病=熱中症のもっとも重い状態をいいます。
毎年夏になると熱中症による病院救急搬送がどこそこで何件おきた、など報道されるようになりますが、実は、陽射しの強い、気温の高い日だけではなく、雨天でも湿度の高い日は熱中症に注意が必要です。
なぜ熱中症、熱射病が起こるのか、どんな症状なのか、応急手当や予防方法についてご説明していきます。
★熱中症・熱射病はなぜ起こるのでしょうか?
人間のからだというものは、暑くなると汗をかいて体温を調節できるようになっています。しかし、次のようなときに体温調節がうまくできず、からだにとって危険なレベルまで体温が急激に上昇してしまうことがあります。
これが熱中症です。
- 温度の高い職場で長時間働く
- 気温の高い日に冷房をいれずに締め切った部屋に長時間いる
- 炎天下で長時間スポーツをする
(炎天下でなくても気温の高い日に体育館等で長時間スポーツをする)など
★どんな症状なのでしょうか?
めまい・立ちくらみ・疲労感・吐き気(頭痛をともなうこともある)という症状をはじめ、失神・異常な言動など意識障害もおきます。この状態が続くと重要な臓器に障害が起こり、死に至ることもあります。
自覚症状はほとんどなく、気づいたときには状態がかなり進行していると言われています。体温調節機能が大人と比べて低い高齢者や幼児はとくに症状がでやすいので、周囲の注意が必要です。
★応急手当はどうすればいいのでしょうか?
体温を下げる、これに尽きます。
まずは水でからだを冷やします⇒氷水でなくとも水道水で十分です。
- ぬれタオルをあてるく
- 口に含んで吹きかける など
屋内なら
冷房や扇風機を使い室温も下げるとなおよいでしょう。
屋外なら
日陰や風通しのよい場所に移動させてから冷やしましょう。
いずれも、ベルトやボタンなどはゆるめます。
意識に障害があるような場合はすぐ救急車を呼びましょう。
★予防にはどんな方法があるのでしょうか?
屋内なら
冷房や扇風機を使い、室温を適度に調節しましょう。水分は十分に補給しましょう。
職場環境やスポーツの練習場所を変えられないときは
休憩を頻繁にとり、水分をしっかり補給しましょう。
気温が高くなりそうな日は
外出はできれば避けましょう。
アスファルトの多い街中では、体感温度は実際の気温より高くなります。
暑い日に屋外に長時間いることは避けましょう。
気温があがらなくても湿度の高い日は
汗が蒸発しにくく、体温を効率的に調節することが難しくなります。
より注意が必要な日ととらえ、屋内では除湿機を使う等配慮しましょう。
汗でべたつくのが嫌だと水分を控えたりせず、積極的に補給しましょう。
体調管理はとても大切です。体調が悪いときは症状が出やすかったり、また夏場でお腹を冷やし下痢の症状がでているときは、脱水症状を起こしやすかったりします。普段から睡眠を十分とり、体調が悪いときには無理をせず休養をとりましょう。
また、高齢者や幼児の場合は、より注意が必要です。以下を特に気をつけてください。
高齢者の場合
とくにトイレが面倒ということで水分を控えがちです。水をそのまま飲むことにも抵抗を感じる方もいらっしゃると思いますので、冷ましたお茶を常備しておくなどの配慮が必要になってきます。
幼児の場合
遊びに夢中になっていて自覚症状を訴えることはまずないと言っていいでしょう。それだけに周りの大人は注意が必要です。
いずれも、衣服や室温の調節、水分補給を常時心がけてください。
夏は日差しの強い中で外出する機会が増える時期です。
熱中症は誰にでも起こりうる症状なので、きちんと対策をし無理なくレジャー・行楽を楽しみましょう。